法人設立のメリットと注意点

レバレッジ規制から節税対策まで

法人化のメリット

一般に言われる法人化のメリット

  1. ハイレバレッジ規制がない
    個人の25倍規制に対し、法人の国内FXは約50倍ほど、海外FXならば500~1,000倍ほどのレバレッジとなっております。

    一時的にでも大きなポジションを取る投資手法が有効な場合、個人で口座を持つよりは法人口座を持つ方が低リスクですし利益の追求を後押しします。これはロングホルダーやスワップ派にも同じことが言えます。
  2. 損失が10年間繰越せる
    個人は取引所FX(くりっく365、大証FX)でも3年間しか繰越せませんが、法人は10年間繰越せます。
  3. 損益が通算できる
    法人で取引を行うことの大きなメリットは、FXの損失や利益について、不動産を含む他の事業によるものと一緒に計算できることです。
    個人であれば、FXで損失が出たが賃貸不動産で利益が出ている、といったとき、賃貸不動産による利益とFXの損失を相殺することはできません。
    なぜなら、個人にとって賃貸不動産の所得は「不動産所得」であって、FXで生じた所得「先物取引に係る雑所得等」とは区分が違い、通算も認められないからです。

さらに私たちが考える法人化のメリット

  1. スワップ派にもメリットが
    個人だと、含み損があっても、(スワップ金利だけを引出すことができる証券会社の場合)スワップ金利だけは申告しなければならない場合がありますが、法人の場合、決済しなくてもポジションの含み損を申告できます。
    もちろん、決済して確定損にすれば良いのですが、スプレッドも考えるとしたくないところです。
    この点法人だと、スワップ金利と為替の含み損も一緒に申告しますから問題ありません。
    (但し、含み益の場合にも申告して課税されることになりますから、その場合はデメリットになります。)
  2. 節税がしやすい
    個人だと、大きな利益が出た場合には利益そのものに課税されます。
    しかし法人であれば、そもそも経費計上の範囲を拡げて考えることもできます。
    たとえば、通常の会社が行うような、家賃の一部を法人の経費にしたりすることも可能になります。
    また、一般の会社同様、節税用の保険商品などを活用した節税プランを使うことも可能です。
  3. 決算期を選べる・変更できる
    個人の決算期は12月と決まっています。しかし、会社の決算期は何月にすることもできますし、変更することもできます。ただし、12ヶ月間以上の事業年度は認められませんので、変更する場合には短くすることしかできません。
    ただ、このことは早めに事業年度を終わらせてしまうことができる、ということを意味していて、税務上有利に使える余地があります。
  4. 社会的地位を得る
    これは特に専業トレーダーや専業主婦に言えることですが、法人化によって身分が「会社経営者」となります。加えて、ある程度の給与をその法人で支給していれば金融機関などからの対外的な信用度も増します。
  5. ハイレバはローリスク?
    ハイレバ口座はリスクが大きいといわれていますが、その反面、大きなポジションを取る際、利益重視の観点からはメリットが大きいともいえます。
    最近の傾向として、
    「ハイレバでリスクをあえて選択して利益を追求していく」
    だけではなく、
    「ハイレバでリスクを低くしてFX口座を安全運転する」 という方が割合も多くなってきています。
    しかし、法人であれば個人より少額の証拠金で十分であり、その範囲内の少額の損失リスクを負えばいいだけの話ともいえます。
    このことからも、特にポジションの取り方を大きく変えない限り低リスクになります。
  6. 相続税対策として
    個人で投資をしていれば当然個人の財産を形成します。一方で、法人が投資をしていれば法人の財産を形成します。法人は、たとえば株式会社であれば株主のものですから、株主がお子さんだったら、その残った利益はお子さんのものになります。
    これを念頭において、弊社のお客様でもFXで運用する父親が役員、株主がご子息、という会社が少なくありません。

法人化の注意点

  1. 利益の置きっぱなしはかえって不利
    税率は26%以上になり、年7万円の住民税が固定的に発生します。
    つまり、何も考えずに利益を会社に置きっぱなしにしていたら、個人で20%の申告分離課税を受けていた方が良い、ということになりかねません。
    (2012年からは、すべてくりっく365と同じ20%の申告分離課税に統一されます。これは、給与や事業という他の所得とは無関係に20%で課税されるということです。)
    ただし、法人の場合、給与や経費の出し方によって利益自体を大きく減少させることができますから、しっかりと考えれば、比較的簡単に実質税率を20%以下(10%とかそれ以下)にすることができます。
  2. 設立・維持のコストがかかる。
    設立コストだけでなく、設立後の会計処理、決算・申告といった法人としての手続は、通常は会計事務所に委託するため、コストがかかります。

法人化の基本的な考え方

ハイレバ狙いだけでなく、節税も念頭に置いた場合、単に法人を設立するだけでなく、その設計や運営にも配慮すべき点があります。
たとえば、法人で稼いだFXの利益を個人に移す場合も、気を付けないと勤務先に副業の収入として把握されてしまうおそれがあります。
詳しくはFAQ(設立編)、FAQ(運営編)をご覧ください。